■歯の生え方と大人の歯への生え替わり

歯が生えるお話の前に、それぞれの歯に付いている記号について説明致します。
それぞれの歯には、一本ずつ
“歯番(しばん)”と呼ばれる番号(記号)が付いていて、歯科医療に携わる人同志の情報伝達が、スムーズに行くようになっています。
歯の萌出(生えてくること)と(乳歯から永久歯への)交換は、この歯番に則っておご説明申し上げます。



■歯番
(乳歯)左右の真ん中を“正中”と言い、そこを基点として前から順にA・B・C・D・Eと成ります。

           

(永久歯)左右の真ん中を正中と言い、そこを基点として前から順に12345678となります。

       

■乳歯(子供の歯)が出来るまで  



1) 胎生7〜10週(形成開始期):歯の元になる細胞が集まって来て、歯胚という乳歯の・・たねを作り始めます。(図A)

2) 胎生2〜3ヶ月(組織・形態分化期):歯の種が大きくなって歯小嚢(ししょうのう)という袋の中で乳歯の輪郭が出来てきます。(図C)

3) 胎生4〜6ヶ月(石灰化開始期):袋の中で歯冠(歯の頭)の部分が固まり始めます。(図D)

* 出 生*
4) 生後2〜11ヶ月(歯冠完成期):歯冠(歯の頭)ができあがります。(図E)

5) 生後3〜25ヶ月(萠出準備期):歯根(歯の根っこ)を作りながら、歯冠は歯ぐきの表面を目指して伸び始めます。(図E〜F)

* いよいよ萠出(歯が歯ぐきから頭を出すこと)*
6) 生後6ヶ月:最初に下あごの前歯(下A)が生えてきます。(図F)

7) 生後1年頃:次に(上A)→(上B)→(下B)が生えてきます。

8) 生後1.5年頃:多くの場合(下D)→(上D)→(下C)→(上C)の順で生えてきます。

9) 生後2年頃:最後に(下E)→(上E)が生えてきて乳歯の歯並び(乳歯列)は完成します。

* 上下とも左右に5本ずつ合計20本が一般的です。 また、萠出の時期や順序は、個人差が有ります。


■大人の歯(永久歯)への生え替わり(歯牙の交換)/(ただし“親知らず”は除きます。)

1) 胎生4ヶ月〜生後9ヶ月(形成開始期):乳歯根(子供の歯の根っこ)の先に、将来の永久歯の・・たね(歯胚)が出来てきます。

2) 胎生5ヶ月〜生後2年(組織・形態分化期):歯の種が大きくなって歯小嚢(ししょうのう)という袋の中で永久歯の輪郭が
   出来て きます。

3) 出生時〜生後3年(石灰化開始期):袋の中で歯冠(歯の頭)の部分が固まり始めます。

4) 生後3年〜8年(歯冠完成期):歯冠(歯の頭)ができあがります。

5) 生後4年〜10年(萠出準備期):歯根(歯の根っこ)を作りながら、永久歯冠が歯ぐきの表面を目指して伸び始めるので、
  乳歯の根は圧迫されて溶け始めます。

* いよいよ萠出(歯が歯ぐきから頭を出すこと)*
6) 6〜7歳:まず(下6)が、続いて(上6)が、乳臼歯(E)の後ろに顔を出します。

7) 7〜8歳: 根っこを無くした乳歯(まず下A続いて下A)は、徐々に揺れ始めやがて抜けてしまいます、そしてその後から永久歯が
 (下1)→(上1)の順に顔を出します。

8) 8〜9歳:同様に(下2)→(上2)の順に生え変わります。

9) 10〜12歳:続いて多くの方では、(下3)→(上4)→(下4・上3)→(上下5)の順に生え変わります。

10)13歳頃:最後に(下7)→(上7)が生えてきて永久歯の歯並び(永久歯列)は、一応完成です。

* この後永久歯は、歯根が完成するか、噛み合う相手と出会うまで伸び続けます。

* 現在多くの方は、上下左右に各7本ずつ、合計28本の永久歯で歯並びができていますが、4本前後の個人差が有ります。

* 親知らず(前から8番目の歯)は、(上下7)が生えてから5〜10年ほど後に生えてきたりします。


■永久歯の萌出(生え変わり)順序と歯並びの関係 

1が萌出した後、6が萌出してくるので、その間に並ぶ歯のスペースが限られてしまいます。
このため、歯が大きすぎたり、逆に顎の骨が小さいと歯が並ぶスペースに不足が生じて、後から生えてくる歯は、まっすぐに生えることが出来ずに斜めを向いてしまいます。
その結果、上顎では、3が八重歯になったり、下顎では5が舌の側や頬の方に傾くことがよくあります。親知らずが、斜めに生えてしまうのもほぼ同じ理由によります。