■歯を抜いた後の治療の方法

残念にも歯を無くしてしまわれた方には、次のような方法で再び噛めるようになって頂きます。

1)Br  抜けた歯の両脇に歯が残っている場合、それらを支えにして両側から被せもので橋渡して噛めるようにする方法です。

治療の流れ
1. 
治療計画・支台と成る歯の形を整える
2. 噛み合わせの記録
3. 歯の型取り
4. 仮歯の作成
5. 
適合のチェック
6. Br完成・噛み合わせ調整の後、接着剤で固定。
7. 数日使って噛み合わせの微調整      
以上を5回前後の通院で行います。(ただし、根っこの治療の回数は含みません。)

利点  
接着剤(セメント)で歯に固定してしまうので、食事中ずれたりしません。
被せものの種類を好みに合わせていろいろ選択できます。(白い歯・保険のもの等)

欠点  
虫歯の有無に係わらず、支えになる歯を削る必要が有ります。
抜けた歯の本数やパターン(抜け方)によっては、保険が効かないことも有ります。
連続した冠でできているので、お手入れに手間がかかります。(歯間ブラシが必要です。)

2) 入れ歯(デンチャー) 
通常、皆さんが入れ歯と呼んでいらっしゃるのは、取り外し式の義歯を指しておられるようです。この義歯は、
1. 人工歯と呼ばれる歯の部分と床と
2. 呼ばれるピンクの樹脂の部分
3. 
クラスプと呼ばれる金具の部分からできています。(ただし総義歯(総入れ歯)にはこの金具が有りません。)この義歯の治療の流れと利点・欠点を以下に示します。

治療の流れ
1. 
治療計画・入れ歯を支える歯の前処理
2. 
入れ歯の型取り
3. 噛み合わせの記録
4. 
噛み合わせの確認・歯並びの確認
5. 
入れ歯の完成・調整・装着
6. 
数日使ってみた後、微調整( 調整が何度か必要。)
2〜6
を約5回の通院で行います。

利点  
抜けた歯の本数や抜け方(どこの歯が抜けたか)に係わらず保険治療が可能です。入れ歯作製までの治療回数は、比較的少なくて済みます。( ただし顎の骨がやせている方は、入れ歯ができてからの調整に時間がかかります。)

欠点  
接着剤で固定しないので、食事中にガタつくことが有ります。床と呼ばれるところが歯ぐきを広く覆うので、舌触りが悪くなります。(話をしにくい、食べ物がおいしくない。)金具を掛けている歯に、過重な負担が掛かる。(そのため、歯がグラグラして来ることが有ります。)金具に食べ物がよく引っ掛かるので虫歯に対する注意が必要です。(毎食後、入れ歯を外して歯磨きして下さい。)

3)インプラント(人工歯根)      
歯が抜けた後の骨に、チタンなどでできたネジを植込んで噛めるようにする治療法です。最近は、ご存知の方も増えて来てすっかりお馴染みの治療と成って参りました。また、毎年次々と新製品も発売され、患者さんの厳しい要望にもお応えできる充分な治療成績が得られるように成りました。

治療の流れ
1. 
レントゲンその他、資料作成
2. 治療計画
3. 一次手術(インプラント埋入) 
4. 
傷口の消毒
5. 二次手術(インプラント頭部の立ち上げ)
6. 傷口の消毒
7. 
インプラントの型取り
8. 冠の適合チェック
9. 冠の完成・調整・固定
10.
 数日使用して微調整
11. 定期健診(必ず実行して下さい。)
以上を約半年〜1年かけて行います。

利点  
治療の範囲は、歯が抜けたところだけで済ませることができ、両側の歯を削ったり、舌触りの悪い金具が歯ぐきを覆うことも有りません。想像以上に痛みが少ない。( 手術中・後を含めあまり痛まない。)まるで本当に歯が生えているようにすることも可能です。接着剤で固定すると本当の歯のように使うことができます。入れ歯を何度作り替えても、合わないといった方には、特にお勧めです。手術時間は比較的短く(1〜2時間位)身体への負担も軽いので通院で処置できます。(入院の必要が有りません。)

欠点  
保険不適応なので保険の治療に比べると、治療費が高額です。(1本40万円前後)年齢や身体の状態により、この治療を受けられない場合が有ります。
手術時間はそんなにかかりませんが、埋めこみを終えてから(被せものを被せて)噛めるように成るまで少し期間が必要です。(6ヶ月〜1年)

4)歯の移植
歯が抜けたところに、親知らずなどの噛むのに使っていない歯(余っている歯)を移植して噛めるようにする方法です。その患者さん自身の歯を用いるので、拒絶反応を起こす心配も無く安全です。

治療の流れ
1. 
移植床(歯を植えるところ)の準備   
2. ドナー歯の抜歯(植える歯の確保)  
3. 歯の移植   
4. 
移植歯の固定(抜けないように隣の歯に繋ぐ)   
5. 
傷口の消毒   
6. 根っこの治療   
7. 被せものの治療
1〜4
は一日で行い、5〜7を4〜10ヶ月で行います。    

利点  
拒絶反応も無く安全です。傷口が大きい割にほとんど痛みません。治療の範囲は、歯が抜けたところで済ませることができ、両側の歯を削ったり、舌触りの悪い金具が歯ぐきを覆うことも有りません。インプラントに比べ治療費がかかりません。条件が揃えば健康保険の適応が受けられる。邪魔な歯も抜けて一石二鳥。

欠点  
移植した歯を暫く固定しておく必要が有ります。(3週間位)移植に適した歯が無いと施術できないことが有ります。骨や身体の状態が悪いと施術出来ません。条件が整わないと保険の適応が受けられません。40歳を超えると成功率が低下します。噛めるように成るまで少し長い期間が必要です。