■歯周病の分類

歯周病の内、炎症が歯ぐきの範囲に納まっているものを歯肉炎(ジンジバイティス:G)、歯ぐきを越えて歯を支えている骨(歯槽骨:しそうこつ)にまで広がっているものを歯周炎(ペリオドンタイティス:P)と言います。
そして、歯周炎は程度により、P1・P2・P3・P4に分かれます。
従いまして、歯周病は、G・P1・P2・P3・P4の5段階に分けることが出来ます。
これらの病気は、決して大人だけのものでは有りませんし、歳を取ると必ずかかるという訳でも有りません、日頃のお手入れさえしっかりしておけば必ず予防できます、そして努力さえすれば進行を止めることも可能です。
絶対に、諦めないで下さい !! ( 糖尿病の方は、特にご注意下さい。)

G
炎症が、歯ぐきの範囲で納まっているもののことです。
思春期(12〜18歳)の頃から起こり始めることが多いと言われていますが、歯のお手入れが悪いとそれ以前にも起こります。歯を磨いたときの痛みや出血で気付くことがよく有ります。歯科医院で歯の清掃と歯磨き指導を受け、きっちり磨く癖を身につければ、比較的早くに治せます。 

P1
炎症が歯ぐきを突破し歯槽骨(歯を支えている骨)にまでおよんだ状態です。  
歯と歯ぐきの間の溝(健康状態での呼び名は歯肉溝と言います:通常1〜2mm)は、健康な状態より深くなり(3mm程度)、病的な状態(歯周ポケットと言います)に成りつつあります。通常余り症状は有りませんが、歯肉炎同様歯磨き時の痛みや出血で気付きます。幸い骨のダメージ(炎症によって骨の溶ける量)はまだ浅く、比較的短期間の通院と正しい歯磨き習慣を身に付けることでそれ以上の進行を防ぐことが出来ます。20代の方に多く見られます。

*歯周ポケット
歯から剥がれた歯ぐきが、衣類に付いているポケットのような袋になっている状態。このポケットには、食べカスや細菌は詰まって来ますが、決して幸せは入って来ません。

P2
炎症によって溶かされた骨の量が更に多くなり、歯と歯ぐきの間の溝も(P1より)深くなっている状態。( 4〜5mm)歯が、左右に少し揺れたりする事も有ります。歯ぐきからの出血や口臭で気付くことがよく有りますが、余り歯に関心を持たずそのまま放置していると、30代後半には簡単にこのレベルを突破してしまいます。特に、歯が丈夫で虫歯も無く歯医者通いとは縁がない、とご自慢の方は30歳に成る前に一度は定期健診をお受けになっておかれた方が良いかと思います。( そういう方が、次のP3にまで炎症が進んだとき、見るも無惨な結果を招きます。)

P3
歯と歯ぐきの間に出来た溝が6mm以上の深さに達すると、いくら心を入れ替えて歯磨きに励んだとしても、もう自力で治すことは出来ません。
この時期になると、歯がグラグラと揺れるため、硬いものを噛むとき痛みや不安を感じます。また、口臭もきつく( 膿の臭いがします)なり、人と対面で話をすると相手に迷惑がかかるほどに成ります。年齢は、40代の方から徐々に見受けられ、ご高齢になるに従って増加傾向に有ります。しかし、“若い頃から歯が丈夫で歯科治療とは無縁であった、硬い食べ物好きの、歯磨きを余りしておられなかった方“は、ここまで歯周病が進行してしまうと、短期間の内に大量の歯を無くすことになります。そのような方は、昔から硬いものを好んで食べておられたため、顎(あご)を動かす筋肉が人一倍発達していて、食事の度に歯に掛かる力も相当強力です。一方、歯を支える骨は当時の半分以下にまで減少しているため、歯はかなり弱っています。にもかかわらず、顎の筋肉はそんなことにはお構い無しで、相変わらず強い力で食べ物を噛みつぶしますから、その負担に耐えきれずに歯は炎症を起こします。そうなると、歯周病菌による炎症と筋肉の力による炎症が、ダブルパンチで歯をダメにしてしまい、それとほぼ同時期に多数の歯が抜けて行くことに成ります。ですから、一刻も早く歯科医院での治療を開始して頂くべきです。(治療期間は長くかかります。)(歯をビールの栓抜き替わりにしておられたような強者は、特にご注意下さい。) 

P4
歯を支えている骨がほとんど無く、そのため歯は前後左右更に上下にも動いてしまうような状況で、とても痛くて噛むことが出来ません。( ほとんど歯ぐきの皮1枚でつなっがているような状態です。)ですからもう、歯を治療して(抜かずに)残す、ということは不可能です。残念ですが、出来るだけ早期に歯を抜いて、入れ歯やその他の方法で噛めるようにするしか有りません。でも、歯は一本でも多く残しておいた方が良いわけですから、諦めないで出来るだけ早期に歯科医院に通って下さい。