■虫歯治療の流れ

C0の治療
まだ歯に穴が開いていませんから、適切な歯磨きをすれば元の健康な状態に戻すことができます。1) 歯科医院で歯磨き指導を受け、正しい歯磨きを身に付けて下さい。
2)
フッ素やキシリトール入りの歯磨き剤や、お口のリンス剤(うがい薬)を積極的にご利用下さい。
3)
予め奥歯の溝を樹脂でシール(塞ぐこと)して下さい。(予防充填(じゅうてん)と言います。)
4)
定期的に検診を受け、虫歯の進行状態をチェックして下さい。

C1の治療
虫歯にかかっている部分を削り取った後。歯の色をした樹脂(レジンと言います)や金属で埋めてしまいます。虫歯の範囲がエナメル質に限られるため、麻酔をしなくとも治療中痛むことは有りません。( 歯を削ったときの痛みは、下層の象牙質を削ったときから感じます。)
また、例え浅くとも、虫歯があちこちにある場合は、お口の中がすでに虫歯にかかりやすい環境に傾いてしまっていると考えられます。(体の抵抗力より、虫歯菌の勢力が優勢に有る状態。)このような場合は、お口の抵抗力を取り戻すために、次のようなことを行う必要が有ります。
1)
歯科医院で歯磨き指導を受け、正しい歯磨きを身に付けて下さい。
2)
フッ素やキシリトール入りの歯磨き剤やお口のリンス剤を積極的にご利用下さい。
3)
予め奥歯の溝を樹脂でシール(塞ぐこと)して下さい。(予防充填(じゅうてん)と言います。)
4)
定期的に検診を受け、虫歯の進行状態をチェックして下さい。

C2の治療
虫歯が象牙質(エナメル質の下で削ると痛いところ)まで達していますから、治療時に麻酔が必要なことが有ります。 (麻酔の要・不要は、多くの場合医師の判断に委ねられますが、“何が何でも痛いのは嫌”とおっしゃる方は、前もって麻酔を希望なさる方が良いかと思います。)そしてその後は、次の順序で治療して行きます。
1)
虫歯になっているところを完全に取り除きます。
2)
虫歯の深かったところは、歯髄を保護するためのお薬を詰めます。
3)
詰め物(虫歯が広範囲に有った場合は被せもの)がし易いように、歯の形を整えます。
4)
−a)(当日に詰める場合) 詰め物をした後、表面をきれいに磨いて終了です。
  −b)(後日詰める場合)  
  -1 型取りの後、仮の詰め物をして帰宅して頂きます。
  -2(約1週間後)再来院時に、出来上った詰めもの(被せもの)を接着剤で歯に固定して終了です。いずれの治療も虫歯の程度によっては、しばらくしみたりすることが有ります。
そのような時は、その旨を主治医に伝えて様子を見るようにしましょう。徐々に治まって来ることが良くあります。)
しかし、我慢できないときや噛(か)むたびに痛むようであれば、歯髄を取り除く処置を含め主治医と今後の治療について相談しましょう。                

C3の治療
既に虫歯菌が、歯髄腔(歯の中に有る神経と血管が入っている空洞。)にまで侵入してしまい、歯の中は感染しています。ですから、更なる細菌の侵入や、根っこの外への感染と痛みを防ぐために、歯髄を取り除き歯の中をきれいに消毒した後、根尖孔(根っこの先に有る歯髄の出入り口)まで薬で完全に塞ぎ根っこの内と外を遮断する必要が有ります。(いわゆる根っこの治療。)この治療は、
a) 歯髄(歯の神経)が生きている場合
と、
b) 以前に根っこの治療を受けて既に歯髄が無く根っこの中に薬が入っている場合

で、少し治療法が異なりますから、それぞれにご説明致します。
a) 歯髄が生きている(生活歯と言います)場合

生きている歯髄に触れると飛び上がるほどの痛みを感じます。
ですから、治療の前には充分麻酔をして、そのようなことが起こら無いようにした後、次の順序で治療を進めて行きます。
1)
詰め物や被せものを取り除き、虫歯に侵されているところを完全に取り除きます。
2)
歯髄を取り除き易いように穴を広げた後、器具を使って取り除きます。
3)
歯髄を取り除いてできた空洞をきれいに清掃した後、消毒の薬を入れて蓋をします。
(蓋は、薬がもれたり、逆につばや細菌が歯の中に入って来るのを防ぐために必要です。)
4)
必要に応じて、薬の交換を何度か繰り返します。( 薬の交換の度に通院します。)
5)
歯の中(根菅と言います)がきれいに消毒できたら、根尖孔のところまで神経の代わりにお薬を詰めます。(歯髄腔まで侵入した菌が、更に根っこの外(歯根膜や歯槽骨)にまで進むことを防ぎます。)
* 治療期間中は、その歯を使わないようにしてお食事して下さい。
6)
大きく深い虫歯のために歯のほとんどを失ってしまった場合、金属などを使って土台を 作ります。(土台の型取りが必要なことも有ります。)
7)
歯を削って被せものが入るように形を整えます。
8)
歯の型を取ります。(これを元にして歯科技工士さんが作ってくれます。)
9)
出来上がった被せものをお口の中で調整した後、接着剤で歯に固定します。
10)
数日間使ってみた後、調子が悪ければ調整を繰り返します。

 

b)歯髄が死んでいたり(失活歯と言います)、既に根菅内(歯の中)にお薬が入っている場合。
既に神経は死んでいますから、治療中麻酔をしなくとも、ほとんどの場合痛みません。しかし、治療前から既に激しい痛みが有るときは、麻酔をすることも有ります。
1)
詰め物や被せものを取り除き、虫歯に侵されているところを完全に取り除きます。
2)
既に入っている古くなったお薬を薬品や器具を使って取り除いた後、できた空洞(根菅内:歯の中)をきれいに清掃します。
3)
次に中を乾燥し、消毒のお薬を入れ蓋をして、ご帰宅して頂きます。(蓋は、薬がもれたり、逆につばや細菌が歯の中に入って来るのを防ぐために必要です。)
4)
必要に応じて、薬の交換を何度か繰り返します。( 薬の交換の度に通院が必要です。)
5)
歯の中(根菅と言います)がきれいに消毒できたら、根尖孔のところまで神経の代わ りにお薬を詰めます。(歯髄腔まで侵入した菌が、更に根っこの外(歯根膜や歯槽骨)にまで進むことを防ぎます。)
* 治療期間中は、その歯を使わないようにしてお食事して下さい。

a)の生活歯であっても、b)の失活歯で有ってもこの後、痛みが無いことを確認した後、被せもの(稀に詰めもの)の治療に移って行きます。
6)
大きく深い虫歯のために歯のほとんどを失ってしまった場合、金属などを使って土台を 作ります。(土台の型取りが必要なことも有ります。)
7)
歯を削って被せものが入るように形を整えます。
8)
歯の型を取ります。(これを元にして歯科技工士さんが作ってくれます。)
9)
出来上がった被せものをお口の中で調整した後、接着剤で歯に固定します。
10)
数日間使ってみた後、調子が悪ければ調整を繰り返します。

いずれの治療も炎症の程度によっては、噛んだときにしばらくひびいたりすることが有ります。そのような時は、その旨を主治医に伝えて様子を見るようにしましょう。(徐々に治まって来ることが良くあります。)しかし、我慢できないときや、徐々に痛みがひどくなって来るようであれば、再治療を含め主治医と相談しましょう。

C4の治療
もうここまで来れば、治療をすることはできません。ですから、1日も早く歯を抜いて、傷の治りを待ち、歯が無くなったところをどのようにして噛めるようにするかを考えなければいけません。(傷がきれいに治るまで型取りができません、その分治療の終了が遅れます。)歯を抜いた後の傷は程度にもよりますが、1週間程で痛みが無くなり、1〜3ヶ月できれいに治ります。(ただし骨ができるまでは、抜歯後6ヶ月ほどかかります。)抜歯については、歯を抜く時の項目をご覧下さい。

あちこちに虫歯がたくさん有る方の治療
例え浅くとも、虫歯があちこちにある方は、お口の中がすでに虫歯にかかりやすい環境に傾いてしまっています。(体の抵抗力より、虫歯菌の勢力が優勢に有る状態。)このような場合は、お口の抵抗力を取り戻すために、次のようなことを行う必要が有ります。
1)
歯科医院で歯磨き指導を受け、正しい歯磨きを身に付けて下さい。
2)
フッ素やキシリトール入りの歯磨き剤やお口のリンス剤を積極的にご利用下さい。
3)
予め奥歯の溝を樹脂でシール(塞ぐこと)して下さい。(予防充填(じゅうてん)と言います。)
4)
定期的に検診を受け、虫歯の進行状態をチェックして下さい。
5)
虫歯の程度に合わせて、それぞれの治療を受診して下さい。